旅行キャンセル料はいつから発生?旅行業の法律観点から解説
- 旅行のキャンセル料金はいつから発生する?
- 旅行キャンセル料に関する法律
- 台風によるキャンセル時のキャンセル料金
- 航空券単体予約のキャンセル料金
- ホテル単体予約のキャンセル料金
- 旅行のキャンセル料:jtbの規定
- 旅行のキャンセル料:hisの規定
- 旅行のキャンセル料を払わない方法
- 旅行キャンセル料金のまとめ
旅行のキャンセル料金のことに関しては良く質問を受けます。旅行業の法律も解説しながら、僕が実際に旅行会社で働いていた時の事例も交え状況パターン別のキャンセル料金規約を解説していきます。
パッケージツアー予約なのか、航空券単体予約なのかホテル予約なのかでキャンセル規約は大きく異なり、今回は旅行会社で飛行機とホテルがセットになったツアー予約のキャンセル料金を中心に紹介します。航空券単体・ホテル単体予約のキャンセル規定も紹介しています。
旅行のキャンセル料金はいつから発生する?
結論としては、ツアー旅行のキャンセル料金は国内だと旅行開始日の20日前、海外だと原則30日前から発生します。
ツアー旅行のキャンセル料金がいつから発生するかは、標準旅行業約款で定められています。JTB/HISなど含めほとんどの旅行会社が標準旅行業約款通りの規約を導入しているので、キャンセル料発生タイミングはほとんどの会社で一緒です。
国内ツアーと海外ツアーでそれぞれ規約が設けられているので解説します。また申請すれば標準旅行業約款とは異なる独自のキャンセル規約を設けることも可能なのですが、標準約款よりも旅行者が不利になる内容はNGです。つまりキャンセル料金発生タイミングを早めることはできません。
国内ツアーのキャンセル料金はいつから
例えば2019年3月25日出発の旅行だと、3月4日前ではキャンセル料金が発生せずに、3月5日からキャンセル料20%が発生します。気をつけなければいけないのが3月4日の旅行会社営業時間終了時刻までにキャンセルの連絡をする必要があります。営業時間終了後の連絡だと、翌日のキャンセル連絡にカウントされてしまいます。
キャンセル料金の20%の基準額は、旅行代金の総額です。
海外ツアーのキャンセル料金はいつから
海外旅行ツアーの場合のみ、ピーク時期の特別ルールがあります。30日前を切ればキャンセル料は変わらないのですが、40日前からキャンセル料金10%が発生します。ピーク時期とは夏休み期間・年末年始・ゴールデンウイークを指し、具体的な日程は7月20日~8月31日・12月20日~1月7日・4月27日~5月6日と定められています。
海外旅行ツアーの場合は30日を切ると3日前までキャンセル料金が一定です。JTBのパッケージツアーは例外で、内容は下記で解説しています。
旅行キャンセル料に関する法律
上述したように旅行業には、キャンセル料に関する明確な法律があります。
旅行業約款は3種類の販売方法ごとに策定されており、「募集型企画旅行」・「受託型取扱旅行」・「手配旅行」の3つがあります。飛行機とホテルをセットで販売するパッケージツアーは全て「募集型企画旅行」に該当します。
旅行業約款のなかでも「募集型企画旅行」のキャンセル料金の法律が適用されることを認識しておきましょう。旅行会社で勤務していた僕自身の経験上、異なる旅行タイプの約款を読んで主張される方も実際におり勘違いが起きやすい部分です。
台風によるキャンセル時のキャンセル料金
これまで話したキャンセル料金規定は、旅行者都合によるキャンセル時のお話です。旅行者都合ではなく、不可抗力な理由によって旅行がキャンセルになってしまう場合もありますよね。不可抗力な理由とは、旅行者都合でも航空会社など都合でもなく仕方のない事象であり、実際には台風をはじめとした悪天候、災害やテロ活動などを指します。
不可抗力によって往路の飛行機が出発できなくなった場合は、旅行代金全額を返金してくれます。すなわちキャンセル料金はゼロです。復路の飛行機が台風で欠航して、現地で延泊をする際の追加ホテル料金などは旅行者が負担することとなります。
ちなみにキャンセル理由が不可抗力でも旅行都合でもなく、航空会社都合の場合もあります。飛行機の機材トラブルなどがそれにあたります。その場合ももちろんキャンセル料金は無料で、また別交通機関への振替や、ホテル延泊など航空会社が負担してくれます。
航空券単体予約のキャンセル料金
航空券単体予約の場合は、予約した瞬間からキャンセル料金が発生します。旅行会社のパッケージツアーは特別団体用のチケットを仕入れているためキャンセル料金発生の規定が異なるのです。
「購入金額」-「取消手数料」-「払戻手数料」=「返金額」
払戻手数料は航空会社ごとに定められており300~500円ほどがメインです。これが予約後すぐに発生するキャンセル料金です。取消手数料に関しては、JAL/ANAの普通運賃の場合出当日発時刻までのキャンセルだとゼロです。早割などの割引運賃で予約している場合は取消料が発生します。
LCCの場合は基本的に返金対応なく、予約後のキャンセルはキャンセル料100%となります。場合分けした航空券キャンセル料金の詳細はこちらの記事で解説しています。
ホテル単体予約のキャンセル料金
ホテルのキャンセル規定はホテルごとによって変わりますが、このパターンが多いです。
7~4日前 20%
3~2日前 50%
前日 80%
当日 100%
不泊 100%
3~2日前 50%
前日 80%
当日 100%
不泊 100%
また気をつけるべきことは楽天トラベルやBooking.comなどのOTAで予約した場合も、各ホテルごとに規定されたキャンセル料金が適用されます。
場合分けしたホテルキャンセル料金の詳細はこちらの記事で解説しています。
旅行のキャンセル料:jtbの規定
jtbのパッケージツアーのキャンセル規定に関して、国内の場合は標準旅行約款通りです。海外ツアーのキャンセル規定は一部jtbならではの特殊なキャンセル料システムがあります。(旅行者にとって有利になる内容です)
本来旅行開始日30日前~3日前までは旅行代金の20%がキャンセル料金となっていますが、30日前から~15日前の場合は下記のように定められています。
解除日が30日前~15日前の場合は旅行代金の総額別に一定額がキャンセル料金として設定されています。
・旅行代金が50万円以上…10万円
・旅行代金が30万円以上50万円未満…5万円
・旅行代金が15万円以上30万円未満…3万円
・旅行代金が10万円以上15万円未満…2万円
・旅行代金が10万円未満…旅行代金の20%
・旅行代金が30万円以上50万円未満…5万円
・旅行代金が15万円以上30万円未満…3万円
・旅行代金が10万円以上15万円未満…2万円
・旅行代金が10万円未満…旅行代金の20%
全て20%以下になっており旅行者にとっては得をする内容です。旅行代金が高い場合は、キャンセル料金が高くなりすぎないように一定額に抑えてあげようというキャンセル規定ですね。14日前から3日前までは変わらず30%です。
旅行のキャンセル料:hisの規定
hisのパッケージツアーのキャンセル規定は、国内ツアーも海外ツアーも標準旅行業約款と全く同じです。jtbと並ぶ国内の2大旅行会社なので、hisに関しても一応言及しました。
旅行のキャンセル料を払わない方法
ここまで解説してきた上記の標準旅行業約款に沿ったキャンセル料金はもちろん支払う必要があります。但し稀にですが、支払う必要のない旅行キャンセル料金もあります。
例えば料金をまだ支払っていない場合は、規定の日数になってもキャンセル料を支払う必要はありません。旅行代金の支払いとともに正式申込完了とみなされます。
旅行キャンセル料金のまとめ
ツアー予約後に発生するキャンセル料金は、一律で標準旅行約款で定められているので分かりやすいです。標準約款よりも旅行者に不利な設定になることはありませんが、申込時はそれぞれのキャンセル規約など表示されているはずなので目を通しましょう。
旅行において不要なトラブルが起きないように事前にしたいですね。